工場探訪記

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工場探訪記

米油の原油を抽出する埼玉県日高市のムサシ油脂と精製を行う船橋工場には、 1年を通して多くの見学者がおみえになります。学校給食で米油を使っている栄養士さんや、経済ジャーナリストまで、さまざまな興味や疑問 を持った方々をお迎えすることは、私たちにとっても啓発されるところが多々あります。 このコーナーでは、そんな方々の中から独自の視点を持って工場を見学していただいた お客様の見学後の率直な感想をご紹介したいと思います。

シェフ米油工場に感激!<銀杏・松茸>
第1回 浅草「龍圓」オーナーシェフ 栖原 一之氏
私は何ごとも自分の目で確かめないと納まらない性分である。店で出させていただいている素材もほとんど自分で探し、納得したものしか使わない。三浦の朝取り無農薬野菜、相模原の自然卵、山形県庄内の農家さんから直送の「はえぬき(米)」しかりである。だから2002年来、気に入って使わせていただいている「米油」のできるさまを、かねてより見てみたいと思っていた。
米油をつかってみて感じるのは、以下のような点だ。
1.油通しなどの工程で、食材の旨みをアップさせる
  (食材の味をストレートに出すというより、その旨味を引き上げている)。
2.特にベストマッチは、炒飯への使用(米と米。相性がよいことは想像以上)。
3.長時間、油と向き合って仕事をしていても、「油酔い」をまったくしない。
4.何よりも、お客様に「安全、安心(な料理)」を提供できる。
 
こうした私自身の感想の正当性を、原材料、製造工程、安全管理などの点から自分の目で確認したい、そう思っていた。
念願がかない、4月のある日、ボーソー油脂の船橋工場へ見学に出かけることとなる。
工場見学をする前に、まず、米油ができる工程を説明していただいた。正直、その時点で、自分の認識の甘さを実感することになる。「よい素材」を精製すれば、「よい米油」になるものだと単純に思っていたが、想像を超えた幾つもの段階を経なければ油の原型にもならないのだ。それから口に入る油になるまでには、まだまだ時間と技術が必要となる。一口に「安全」と言っても、そう言いきるためにはなんと莫大なエネルギーを要することか・・・。
さらに米油の成分、ビタミンE、γ−オリザノール等の説明。料理人として、勉強不足を痛感する。山積みになった「米ぬか」から、ほんの僅かな量の米油しかできないことの説明も受け、常日頃の私の贅沢な使い方に、後ろめたさすら感じる。
予備知識を頭に入れた後、白衣、ヘルメットを着用。いよいよ、工場へ。色々なセクションを見せていただくが、自分が思い描いていた「工場」とはまったく別物であった。私の想像では、原料から精製までオートメーションの一貫作業ででき上がるものと思っていたが、要所要所に管理する「人」が居る。ボタン一つでできると思っていた私自身が、恥ずかしくなる。

私の表現力ではこの驚きと感動をうまく伝えられないが、身体で感じたのは「手造り」ということ。当たり前のことだが、機械は人が動かすのだ。セクションごとに「人」が管理し、状態を安定させ、でき上がりの梱包まで、目を光らせている。超ハイテクな設備・技術と人の手の「ぬくもり」のあざやかな協働――これが、私が感じた米油のすばらしさの正体ではないだろうか。
龍圓での贅沢な使い方を再び、反省。しかし、こうして丁寧に造られた米油をより美味しい状態でお客様に召し上がって頂くことで、許していただけるのではないかとも思う。
 

プロフィール:浅草「龍圓」のオーナーシェフ。
中華の枠にとらわれない柔軟な発想を基に、体にも心にも心地よい料理を提供している。最近、各メディアへの露出頻度が高まっており、その親しみやすい人柄で人気上昇中。 2002年以来のボーソー米油のファンで、お店のメニューに使用している。