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社長メッセージ 代表取締役社長 垂水 龍介

企業として60年以上の歴史を数えるボーソー油脂株式会社。その出発点は、米油を一流の食用油として世に出したいという創業者直野良平の熱意がその出発点でした。搾油以外にも需要の多かった原料である米糠の集荷や、難度の高い精製技術の開発という、避けて通れぬ課題を克服し、年間7500tを生産、うち家庭用としては年間150万本(1升瓶換算)にまで米油の生産を伸ばしたのが、昭和40年代初頭。日本人になじみのある米糠からつくられるという親近感やその品質の良さが受け入れられて食卓に普及していったのですが、一方、生産者には常に「質と採算性」という問題がつきまといました。そして貿易の自由化、円為替の変動相場制への移行といった動きの中で、この点で長がある大豆や菜種を原料とした油に次第に主役の座を取って代わられることになったのです。以降、米油は業務用としてポテトチップスや米菓などの加工食品を作る際の油として活躍し、シェアを伸ばすものの、家庭の食卓を彩る料理に直接使われることは、少なくなってしまったのです。

こうした苦難の歴史の中でボーソーの先達たちは、米油業界全体の繁栄を願い、更なる品質の改良と新しい用途の開発に取り組み続けました。米油に対する愛着、その価値への自信、そして普及への熱意は、私どもにも脈々と受け継がれ、ボーソーの社風としていまも若い世代の中に生きています。そうした人材と共に、常に社内に新しい風を吹かせながら、「貴重な原料を無駄にせず、いいものを社会に提供する」という企業本来の使命を全うすることが、私に課せられていると考えます。

戦後間もない栄養不足の解消策として高カロリー源である油摂取が奨励された時代、「油は特売で買うもの」として価値の相違が顧みられなかった時代、偏った知識から「油は悪者」とレッテルを貼られた時代、そして国民総健康志向に対応してヘルシーを売りにした新ジャンルの油の全盛時代――油に求める生活者のニーズも大きな変遷をたどってきました。そしていま、限りある資源の未来を考えるエコロジーの視点に適う製品や技術、自然や自然由来のものの持つチカラに共感を覚える生活者が増えているように思われます。油もヘルシーだけに留まらない、複合的な価値が求められる新しい時代に入ったのではないでしょうか。そうしたいまこそ、米油の“復権”のときだと私どもは感じています。様々な情報が行き渡り、賢い生活者が自分の価値基準に合致したものを選択できるようになった昨今、唯一の国産原料を使用した植物油であり、限りある資源を100%余すところなく活用したエコロジーの環の中で生まれる米油こそ、生活者の方々に満足いただけるものだとの確信を深めています。これまで食の豊かさを支える役割を間接的に担ってきた米油を直接的な形で皆様の食卓にお届けし、その価値を認めていただくための活動は、緒に就いたばかり。

この期を再出発の時として、私どもが愛情を傾け、丹誠こめた自信作である米油が皆様の毎日の食卓を潤し、そこに集う笑顔の輪を広げていけるよう一層の努力を重ねていきたいと存じます。